梁川の恵沢山龍宝寺

 梁川の菖蒲沢にあった恵沢山龍宝寺は真言宗の名刹。
       高野山宝性院の末寺として誕生。

 室町時代、伊達氏が梁川城に居城していたころに栄えた。南奥州の真言寺院の中心的な存在で修行道場があった。出羽寒河江の慈恩寺の僧などが梁川の龍宝寺で印可をうけた記録がある。のち米沢、仙台へ移り、現存している。仙台の龍宝寺は大崎八幡宮の別当寺として藩内随一の寺格を誇った。

 室町期に米沢へ、天正末期に仙台へ移る。
     伊達氏が去るとともに、梁川から忽然と消えた大寺院 !!!

 室町後期は梁川城に居城した伊達氏全盛時代で、梁川町八幡の八幡神社(亀岡八幡宮)は伊達氏の厚い保護をうけた。境内にある鬼石観音堂(信達三十三番札所)は梁川菖蒲沢の龍宝寺の配下にあった。文明5年(1474)の観音堂再建は12代 伊達成宗により行なわれ、その開眼供養本願は龍宝寺二世範済が務めた。高野山からも御使が下向した。おそらく亀岡八幡宮も龍宝寺の管轄下にあった。もちろん八幡宮の神事は神官の菅野神尾が行なっていたであろう。
 菖蒲沢 梁川菖蒲沢地区 現在の風景

 元禄年間に、仙台の龍宝寺にあった弘法大師の像を解体修理した際、「奥州簗川郷菖蒲沢 恵沢山龍宝寺奥院大師也 出羽郡下長井庄歌丸 蘇生 当山住侶本願主澄順 生季三十歳 享徳四年十月二日 造人信濃国住僧往幸」という胎内銘が見つかった。享徳四年(1455)は文明5年より20年ほど遡るから、澄順は龍宝寺開山のころの僧となる。米沢ならびに仙台の龍宝寺ではともに開山を澄海としている。澄順と澄海は同一人物かもしれない。
 菖蒲沢は西へ開けた沢で、奥行き約400m、幅は平均して60mほどある。奥へ行くにしたがい微高し、平場がいくつかある。寺院の礎石らしきものもいくつか見える。最奥に清水が湧き、小池とともに小観音堂がある。通称「一枚田観音」と呼ばれている。この観音は龍宝寺とは関連しないが、この沢全体に龍宝寺の境内が広がっていた。沢の開口部は梁川城の大手門に向き合う。当時の梁川城は奥州守護職に就いた伊達稙宗が居城する華やかな城下を形成していた。城の東側には龍宝寺をはじめ東昌寺、常永寺、輪王寺などの大寺院が並んで、寺町をつくっていた。

 寒河江の慈恩寺文書によれば、天文2年(1533)10月30日、龍宝寺実海和尚が梁川の龍宝寺霊場において善済に印可状を授けている。この実海は米沢の龍宝寺世系に見え、米沢龍宝寺の実力者であったが、梁川の菖蒲沢の龍宝寺も存続していたことが知られるのである。梁川の龍宝寺が廃寺となったのは伊達氏が梁川を去った天正19年(1591)と推定され、以後龍宝寺が梁川に存在した資料は見つからない。江戸時代前期に、龍宝寺に代わって亀岡寺が梁川八幡宮の別当として関与してくる。菅野神尾は引き続き神官を務めていた。延宝期の資料等によれば、亀岡寺の前身は室町期に八幡宮の塔守別当(掃除番)をしていた者だったとも伝えられる。

菖蒲沢 菖蒲沢の谷

 清水 沢奥から流れ出る清水

鬼石観音  八幡宮
         鬼石観音堂                     梁川亀岡八幡宮 

梁川龍宝寺  梁川 八幡山龍宝寺(旧八幡山亀岡寺、大和長谷寺小池坊末寺)

  米沢龍      成島八幡
 米沢 龍宝寺跡 住職墓            米沢 成島八幡宮

仙台龍宝寺 大崎八幡宮 仙台亀岡八幡
       仙台 龍宝寺           仙台 大崎八幡宮         仙台 亀岡八幡神社

 戦国期に、恵沢山龍宝寺は廃寺となった。恵沢山龍宝寺の後をうけて八幡宮の別当になったのは、亀岡寺である。その前身は、境内で塔守別当掃除番であったもの(宝仙院か、あるいは光明院)という。宝仙院と光明院は梁川の龍宝寺の一塔中であったと思われる。亀岡寺は明治維新の際、明治2年いったん廃寺となり、明治9年かつての廃寺であった八幡村の夜叉院龍宝寺を再興して八幡山龍宝寺てし、旧亀岡寺の寺院と檀家を継承した。維新政府の廃仏棄釈令にしたがって、亀岡寺の住職小池宥澄は引退し、新住職に弟子の周道がなった。しかし周道は復飾して八幡神社の神官となり、亀岡重輝と名乗ったため、亀岡寺は廃寺となった。数年後、見かねた檀家の人々は宥澄に再興龍宝寺の住職になることを願ったのであった。一方八幡神社の神官であり、梁川天神社の神官でもあった関根氏は六十六郷総社八幡宮の神官は伊達氏入部以来関根家(菅野家)が世襲してきたものとして、亀岡氏を訴えた。明治3年に調停がなされ、神社の収益を亀岡氏・関根氏が折半することで決着したのであった。後に亀岡氏は神官を辞めている。 

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